高プロラクチン血症と不妊症
プロラクチンとは、脳の下垂体前葉から分泌されるホルモンの一種で、乳汁などを分泌する作用のあるホルモンです。また、月経や排卵を抑えたりする作用もあります。赤ちゃんを出産した後の授乳期間中は、このプロラクチンの血中濃度が上ります。実は、このプロラクチンには排卵を抑えたりする働きもありますので、赤ちゃんの授乳期間中は妊娠しないようにという体の仕組みです。授乳期間がすぎればプロラクチンの濃度も普通に戻ります。
しかし、授乳期間が過ぎてもプロラクチンの濃度が下がらなかったり、必要も無いのに多く分泌されている状態を高プロラクチン血症と呼びます。このプロラクチンが多く出ていると受精卵が子宮内膜に着床しにくく、妊娠の障害となってしまいます。
高プロラクチン血症の原因について
この高プロラクチン血症の原因は、大きく分けて3つあります。
薬の長期服用による高プロラクチン血症
ピルや胃潰瘍、抗うつ剤や降圧剤などの薬を長期間服用しているために、ホルモンバランスが乱れて高プロラクチン血症となり、妊娠しづらい状態です。この場合、薬の服用が原因なので、薬をやめれば元に戻ります。また、治療上の理由でやめられない場合などは、薬の量を減らしたりプロラクチンを減らす薬を処方したりします。
下垂体の腫瘍による高プロラクチン血症
これは脳の下垂体に腫瘍ができてホルモンバランスが乱れ、高プロラクチン血症になっている状態です。この脳の下垂体は、できものがよく出来る組織ですが、基本的には、ほとんどが良性のできものです。ただ、腫瘍の位置が悪かったり、大きくなりすぎてホルモンバランスを乱している場合には、高プロラクチン血症となって妊娠の障害となる可能性があります。
また、腫瘍である下垂体腺腫には、ホルモンを産生しないタイプと産生するタイプの2種類があり、このホルモンを生産するタイプの下垂体腺腫ができてプロラクチンを生産してしまうと、プロラクチンが過剰生産されてしまいますので、この場合も高プロラクチンとなって妊娠しづらくなります。この場合の治療法としては、外科的な手術で腫瘍を取り除いたり、薬を使って腫瘍を抑えたりなどの方法があります。
薬物療法: おもにブロモクリプチンなどの薬を使うところが多いようです。この薬の特徴としては、プロラクチンを低下させるだけでなく、腫瘍も小さくさせる働きなどがあげられます。ただ、この薬の服用だけで腫瘍を完全に消し去ることは出来ませんので、薬の服用をやめてしまうとプロラクチンの濃度が戻ってしまう場合があります。また、薬を服用していると腫瘍は小さくなりますが、服用期間が長期に及んでしまうと腫瘍が硬くなってしまう性質 (線維化) がありますので、お医者様としっかりと話し合ってください。
手術療法: 外科手術などにより、患部を直接除去してしまう治療方法です。腫瘍が薬に耐性を持っている場合には、この方法が有効となります。この手術療法の最大の特徴は、1度の治療で完治させることも出来る点です。もし、手術で完治できなかったとしても、その後に薬物療法に移った場合の薬量を減らすことができます。
放射線療法: 腫瘍に放射線をあてて小さくするという方法で、ガンマナイフを使った治療などがあります。この治療法の特徴としては、治療期間が短いという利点がありますが、そのかわり治療の効果が出るまでに時間がかかってしまうのが難点です。
その他の原因による高プロラクチン血症
高プロラクチン血症は体質によるものもあり、普段のプロラクチン値は正常なのに、夜間やストレスが溜まったとき、黄体期の時期だけプロラクチン値が高くなって妊娠しづらくなっている方もいます。このように腫瘍などもなく原因が不明な場合には、おもに薬を使ってプロラクチンを抑える治療をします。
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