着床障害と不妊

なかなか妊娠できない不妊症、その不妊症のなかでも、着床障害は子宮内になんらかの原因があって受精卵が着床しない状態のことを言います。この着床障害の特徴としては、受精卵は無事に子宮まで運ばれるけれど、その後、なかなか着床しづらく育ってくれないことです。

この着床障害の特徴としては、男性の精子の数も十分であり運動率も十分にあって、女性の卵子もしっかりと成熟しており排卵も定期的にある。そして、行為をすればきちんと受精して受精卵は子宮まで運ばれる。それにもかかわらず、着床しても流れてしまったり着床してくれない。このような場合には、着床障害の可能性が出てきます。

また、現在では医療技術も格段に進み、様々な不妊症の研究が進んでいます。しかし、女性の妊娠の仕組みの中で、この着床に関するメカニズムだけは未だに解明できておらず、神秘のベールに包まれています。そのため、体外受精などで受精卵を得られる確立は高いものがありますが、その後、着床障害が起こってしまうと、妊娠する確立が下がってしまいます。


着床障害による不妊の原因と治療

着床障害が起こる原因としては、日常の食生活などによるホルモンバランスの乱れや子宮内膜症の悪化などによて妊娠しづらくなっているなど、様々な原因が挙げられます。その中でも、着床障害の原因に結びつくと思われるものを解説したいと思います。ただし、着床障害のはっきりとした原因は、現在の医学でも特定されていません。

黄体機能不全

排卵後のホルモンのひとつに、プロゲステロンという黄体ホルモンがあります。これは子宮内膜を妊娠に適した状態にする働きがあり、排卵前に比べると30倍近く分泌されます。しかし、黄体機能不全などによりホルモンの分泌やバランスなどが原因で、子宮内膜が厚くならない (妊娠の準備ができない) 場合があります。そうなると、受精卵が着床しづらい着床障害となり、なかなか妊娠できないケースがでてきます。

→ 黄体機能不全について


子宮内膜の癒着

これは、性病であるクラミジアが感染したり、人工中絶・出産時の帝王切開などの原因により、子宮内膜が癒着を起こして着床障害になっている状態です。また、この他にも、月経のときに血が逆流して起こる場合もあります。卵管や卵巣などの妊娠に関係する器官で子宮内膜の癒着が出来てしまった場合、受精卵の着床障害が発生して妊娠しづらくなる可能性があります。

→ 子宮内膜症について


子宮筋腫

これは、良性の腫瘍が子宮の筋層や内部に出来ていることを言います。けれど、子宮筋腫のすべてが着床障害に結ぶつくのではなく、不妊の原因になるかどうかは、主に筋腫が出来た場所、大きさによって左右されます。子宮の内腔に突き出すように出来たり (粘膜下筋腫)、大きいな筋腫ができてしまって卵管を圧迫している場合は妊娠しづらくなってしまいます。また、基本的に子宮筋腫があっても無症状の場合は、治療の必要はありません。子宮を圧迫していて不妊の原因になっている場合や、筋腫の大きさが著しい場合には、薬物療法や手術などの治療を行って妊娠を促します。

薬物療法: まず、薬で症状が緩和したり子宮筋腫が縮小することはありますが、その効果は一時的なものとなってしまいます。今のところ、子宮筋腫を永久的に縮小したり、完全に消滅させてしまう薬はないようです。使用する薬の種類としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やプロゲスチンなどを用いることが多いです。また、この他にもダナゾール (子宮筋腫の増殖を抑制します) などがありますが、副作用があるため殆ど使用されません。

手術療法: 手術療法には、筋腫の部分だけを切除する方法 (子宮筋腫核出術) と、子宮全体を切除する方法 (子宮全摘術) の2種類の方法があります。筋腫の部分だけを切除する場合だと、妊娠や出産の能力が維持されるという利点がありますが、約50%の確立で再発してしまう恐れもあります。


子宮奇形による着床障害

これは、子宮が胎児形成期にうまく作られなかった場合などに起こると言われています。子宮の形が変形していたり、子宮が二つあったりするような場合では、子宮内自体が狭くなってしまうため受精卵が着床しにくくなり、不妊や流産・着床障害の原因になる場合があります。もし、子宮奇形でうまく妊娠できた場合は、産婦人科医の指導にしたがって安静にしているのが一番です。

子宮内膜炎による着床障害

大腸菌や淋菌などの病原菌が子宮に入り込んでしまい、子宮内膜に炎症が起こってしまうと子宮内膜炎になってしまいます。この子宮内膜に炎症が起こってしまうと、受精卵の着床が妨げられてしまうので、これも不妊の原因(着床障害)となってしまいます。

子宮内膜ポリープによる着床障害

粘膜から発生したイボのことを総称してポリープと言います。この子宮内膜ポリープのほとんどは良性の腫瘍で、子宮内膜癌などに悪化することはまずありません。ポリープの大きさとしては、1センチくらいから、大きいものでは10センチを超える場合もあります。

また、この子宮内膜は、受精卵が着床して育つ大切なベッドですので、子宮内膜ポリープが出来た場所や数、大きさによっては、受精卵が着床しづらいなどの着床障害となり不妊の原因となってしまいます。また、ポリープは、子宮鏡検査ですぐに発見できますので、その場で処置することもあります。治療法としては、腫瘍をねじりとったり、ポリープの数が多い場合には子宮内膜をこそぎとったり (内膜掻爬術) して治療します。ポリープが大きい場合などは、電気メスでポリープを切除する子宮鏡下手術などを行います。


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